Pagoの部屋

ようこそPagoの部屋へ。管理人は、とっくに3人の子育てを終えたアラフィフ主婦です。大好きな絵本や食べること、そして心に沁みたことなどを記事にして綴っています。

百田尚樹・作『風の中のマリア』を読み終えて

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今日、 百田尚樹さんの小説『風の中のマリア』を読みました。読みたいなと思いながら、読みそびれていた本の一冊です。初版が2009年3月なので、随分前に出版された本ですね。

 

今ごろ読むなんて、旬はとっくに過ぎているのですが感動したので記事にしてみました。読まれていない方にもおススメしたい本です。

昆虫をモチーフにした小説

ご存知の方も多いと思いますが、タイトルになっている「マリア」は、昆虫のオオスズメバチです。オオスズメバチのマリアを主人公として昆虫の世界を描いた、めずらしい小説です。

 

わたしは、大の虫嫌いでテレビ番組で昆虫を扱ったものは直視できなくて、目をそらすか、すぐにチャンネルを変えてしまいます。なので、小説のモチーフがオオスズメバチということなので、もしかしたら気分が悪くなって読めないのじゃないかな…とも思っていました。

 

そう思いながらも何故か『風の中のマリア』というタイトルに、心はしっかりと引き寄せられていました。自分でも不思議なんですが、タイトルだけで、まだ読みもしていない小説に凛としたすがすがしさを感じたのです。

 

また、百田尚樹さんの小説なら間違いなく素晴らしい小説に違いないと、自信みたいなものがあったんです。と、言っても2作品しか読んでいないのに、いい加減な物言いですみません。

 

だけど、素晴らしい小説に違いない…と感じたわたしの予感は、大当たりでした。『風の中のマリア』は、想像していたよりも、ずっとずっと作中に引き込まれてしまう小説でした。

 

『風の中のマリア』の概要を紹介する前に、百田尚樹さんなら…と、えらそうに書いてしまったわたしが読んだ2冊についても、少し書きます。 

わたしが読んだ百田尚樹さんの小説

 

わたしが百田尚樹さんの小説を読んだのは『永遠の0』(2006年初版)がはじめでした。名前は知っていましたが彼の本を読む機会がありませんでした。きっかけは『永遠の0』が映画化されることになったとき、映画を観る前に読んでおこうと手にとったのです。映画の公開が2013年の12月なので、読んだのは4年ほど前になります。

 

戦争をテーマにした小説で、こんなにも美しい小説があったかしらと深く感動しました。悲しくせつないのだけど、大きな愛が根底にあって読後にあたたかいものも残りました。

 

その後に読んだ『海賊と呼ばれた男』(上・下)は、出光興産創業者の出光佐三をモデルにした歴史経済小説です。主人公をはじめ魅力的な登場人物が多く、ストーリー展開もおもしろく、読み進めれば読み進めるほど、ページをめくる手を止めることができませんでした。初版は2012年7月で、こちらも2016年の12月に映画として公開されました。

 

永遠の0 (講談社文庫)

永遠の0 (講談社文庫)

 

 

 

海賊とよばれた男(上) (講談社文庫)

海賊とよばれた男(上) (講談社文庫)

 

 

 

海賊とよばれた男(下) (講談社文庫)

海賊とよばれた男(下) (講談社文庫)

 

  

次に読むのは…

以上の2作品に魅了されたわたしは、百田尚樹さんの作品の中で次に読むのだとしたら『風の中のマリア』だと、おぼろげに決めていました。

 

しかし、ここ数年のわたしは、読書欲が著しく落ちていて、めったに本を開けなかったんです。ひと頃は、週に数冊読むこともあるくらい本が好きだったのに、読む気力が湧かなくて。。。月に1冊買うか買わないかまでに、読書離れしていました。

 

本を読む行動って、目や身体の調子も関係しますが、それ以上に心の状態って関係しませんか?心の疲労が続いていると活字が読めなくなる…みたいな。とても、とても好きだった本であっても。

 

なので、ついつい『風の中のマリア』を読むのが、遅くなってしまったんです。

 

『風の中のマリア』を読んで本当によかった

 

苦手な昆虫の物語なので、どこまで読めるだろうかと心配もあったのですが、なんの、なんの。完全に悩殺されてしまいました。最初から最後まで、心を奪われ感情移入しながら読みました。

 

この作品は、昆虫を擬人化した小説です。主人公であるオオスズメバチのマリアの、わずか30日ほどの一生を鮮やかに描いています。また昆虫の生態について学術的なことが、しっかりと書き込まれていて知らなかった事が知識としてインプットされます。だからと言って小難しい説明があるわけではなく、その生態さえも感銘をうける物語として成立しています。

 

寿命がわずか30日のオオスズメバチのマリア。彼女は、オオスズメバチの帝国に生まれたワーカー(働き蜂)です。女王蜂である「偉大なる母」のため、そして幼い妹たちを育てるために、戦士として戦い続けます。恋もせず子も産まず命がけでアストリッドの帝国を守り抜きます。その生きざまが、ほんとカッコいいのです。

 

また、様々な昆虫たちが登場するのですが、その昆虫たちと交わす会話がシビアです。弱者と強者、死と生。表裏一体の命が誇張なく、たんたんと描写されています。

 

他の昆虫の命を奪い、その命を食肉とするシーンが多すぎるほどにあるのに、本を閉じることができないほど、魅力的な物語でした。もし、映像があったなら目を覆ってしまうに違いありませんが。

 

もしかしたら、人間が知らないだけで昆虫たちにも思考というもの、あるのかもしれないと思ってしまいました。昆虫は人間よりも先に、この地球に現れました。人間よりも長い歴史を持っているのです。小さく短い寿命ですが、身体の構造や機能には人間より優れたところが、たくさんあります。

 

ああ、昆虫のこと、褒めましたが苦手なんですよ。昆虫を手のひらに乗せるくらいならへびを触るほうがましです。もちろんへびも得意ではありませんが、昆虫よりはって意味ですよ。

 

『風の中のマリア』…読んで、ほんと良かったです。改めて百田尚樹さんはスゴイ作家だと思い知りました。最初にも書きましたがタイトルも魅力的です。わたしの個人的な感想ですが、百田尚樹さんの書く文章は、小説だけでなくタイトルもキラリと光っているように感じます。

 

とにかく面白く読後は世界が広がりました。まだ読まれていない方、もし少しでも興味を持たれたなら、ぜひ読んでみて下さい。

 

風の中のマリア (講談社文庫)

風の中のマリア (講談社文庫)