ようこそPagoの部屋へ。 アラフィフ主婦の雑記ブログです。。。♫

【サンタも最初は赤ちゃんだった】児童文学『サンタクロースの冒険』

あと、1週間ほどでクリスマスですね。

 

今日は『サンタクロースの冒険』という本をご紹介したいと思います。

 

『サンタクロースの冒険』は、アメリカ合衆国の児童文学作家、ライマン・フランク・ボームの作品です。原作『The Life and Adventures of Santa Clau』は、今から100年ほど前の1902年に発表されました。

 

作者が息子ハリーのために書いたと言われているこの作品は、妖精の森に捨てられた人間の赤ちゃんが妖精たちに育てられて、大人になりサンタクロースになるまでの物語です。日本版は田村隆一郎さんの訳により、1989年10月30日に、株式会社扶桑社(ふそうしゃ)から第1刷が発行されました。

 

サンタクロースの物語はたくさんあるけれど、赤ちゃんからはじまるサンタクロースの物語って、ちょっと珍しいと思いませんか?少年時代や青年時代のサンタクロースの物語を読んだのは、わたしにとってこの本がはじめてでした。

 

 表紙は、アップのサンタクロースの絵があり絵本のような仕立てですが、228ページまであり、内容も使用漢字も高学年向きの児童文学です。

サンタクロースの冒険 (扶桑社エンターテイメント)

サンタクロースの冒険 (扶桑社エンターテイメント)

 

 

 

 あらすじ

妖精や精霊たちが住むバージーの森は、これまで人間が足を踏み入れたことのない大きな森でした。妖精たちは木々を育て森を守る仕事をしていました。そして、人間には干渉しないことが森の掟のひとつでした。あるとき、バージーの森のはずれに捨てられた人間の赤ちゃんが発見されます。

 

赤ちゃんは男の子でした。あまりのかわいさに森の妖精ニシルは掟を破って赤ちゃんを抱きあげてしまいます。ほおっておけば赤ちゃんは生きていくことができません。妖精ニシルは、育ての親になることを申し出ました。そうやって森の支配者、偉大なるアークの許しを得たニシルは赤ちゃんを育てることとなります。

 

赤ちゃんはクロースと名付けられ、ニシルやそのほかの森の妖精たちに守られて大切に育てられました。クロースは心やさしい立派な若者に成長します。そんなある日、クロースは偉大なるアークに旅に出ることを誘われます。

 

アークはクロースに人間界を見せるために旅に誘ったのです。クロースは、はじめて見る人間が、死ぬこともなければ歳もとらない妖精たちと全く違うことを知ります。平和なバージーの森と違って人間の世界には、貧富の差があることも知りました。


お金持ちだからってしあわせではない。クロースは、そんなことも感じながら、たくさんの子どもたちを幸せにしてあげたいと強い思いを抱きます。そして、その思いを叶えるために、次のような言葉を残し養母のニシルのそばを離れひとり暮らしをはじめるのです。

人間は地球上でみじかい人生をおくるよう運命づけられ、必要なものを得るために一生懸命はたらき、歳をとり、秋の枯葉のように散っていくのがわかりました。

 

でも人間はみんな使命をもっています。それは、いま住んでいる世界をなんとかいいものにして残そうという使命です。

 

……ぼくなりの役目をはたし、ぼくなりの人生を生きるため……ぼくは人間の子供たちの世話をし、彼らを幸せにするために身を捧げなければなりません。(p30~31)

ひとりで暮らしはじめたクロースはおもちゃを作ることを覚え、子どもたちにおもちゃをプレゼントすることに使命を感じるようになります。子どもたちの幸せな顔を見ることが、何よりも好きだったのです。

 

さて、クロースは、どのようにしてサンタクロースになっていくのでしょうか。クロースの思いを邪魔し、子どもたちの幸せを願わない邪悪なものが登場するシーンもあります。気になる方は、ぜひ読んでみて下さいね。

 

以下に、『サンタクロースの冒険』の目次を載せました。物語の大きな流れがつかめるのではと思います。興味があれば参考にして下さい。

『サンタクロースの冒険』目次

若い頃

1・バージーの森

2・森の子ども

3・養子縁組

4・クロース

5・森の支配者

6・クロース、人類を見つける

7・クロース、森をはなれる

 

大人になって

8・笑いの谷

9・クロース、はじめておもちゃをつくる

10・リル、おもちゃに色を塗る

11・メイリー、こわがる

12・べしー・ブライスサム、笑いの谷にやってくる

13・オーグワの意地悪

14・善と悪の大戦争

15・トナカイとのはじめての旅

16・”サンタクロース”

17・クリスマスイブ

18・エントツのそばにはじめて靴下が吊るされる

19・最初のクリスマス・ツリー

 

晩年

20・不滅のマント

21・世界が年をとったとき

22・サンタクロースの代理人たち

 

わたしが思うこと

タイトルに「冒険」という言葉が入っていますが、冒険物語というよりはファンタジーと呼ぶ方がふさわしいかもしれません。この物語が発表された1902年は日本の明治35年。日本には、まだ子どものための文学が普及していなかった時代です。

 

なのに『サンタクロースの冒険』は、100年以上の歳月が流れても、ほとんど色あせることなく現代のファンタジーとして楽しめます。昔の海外児童文学が、いかに優れていたか感心するばかりです。

 

わたしがこの物語でいちばん好きなところは、サンタクロースだって「はじまりは赤ちゃんだったんだよ」という、なかなか思いを寄せない当たり前のことを書いてあるところです。

 

また、努力したり妖精の仲間たちに助けられながら、クロースが子どもたちにあげる「おもちゃ」を作り「そり」と「トナカイ」を手に入れていくプロセスも楽しむことができました。

 

クロースが子どもたちに与えることの喜びを知り、子どもたちの幸せな顔を願うようになったのは、バージーの森の妖精たちのたくさんの愛情に包まれ育てられたからにほかありません。クリスマスが特別なのではなく、サンタクロースも特別な人がなるのではなく、誰かを、他人を、大切に思う心は連鎖していくのだと感じることのできる物語でした。

 

そして、どんな国であれ、どんな時であれ、子どもはみんな幸せな存在であってほしいと祈りたくなる物語でした。

 

物語の最後は、次のように締めくくられます。

「この世の中に幸せな子供ほど美しいものはない」(P224)

 

晩年、髪も髭も白くなった老サンタクロース、若かりし日のクロースの言葉です。

 

 ※ ボームの代表作と言えば『オズの魔法使い』…。14作のオズシリーズがあります。」

ご訪問ありがとうございました。。。♪