Pagoの部屋

ようこそPagoの部屋へ。管理人は、とっくに3人の子育てを終えたアラフィフ主婦です。大好きな絵本や食べること、そして心に沁みたことなどを記事にして綴っています。

美容師さんのこと第2弾・春風さんの魔法

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主人は、仕事。長男は、幼稚園。娘ふたりとわたしの3人だけの昼下がり。お昼ごはんを食べたその後に事件は起こりました。

 

わたしは、食器を洗いながらカウンター越しにテレビを観ていました。わが家のキッチンのシンクと調理台は、カウンターを挟んでリビングに面しているので、作業しながらリビングの様子はよく見えるのです。テレビは観ていたと言うより聴いていた…感じなのですが、娘ふたりから、すっかり目も耳も離した状態でした。そのとき娘ふたりは、子ども部屋にいたのです。

 

娘ふたりが子ども部屋でおもちゃを広げて遊ぶことは、毎日のことであり、家の中なら常に目の届くところに居るわけではなかったのですが、その日、あまりの静かさにわたしはあわてて洗い物の手を止めて子ども部屋に駆け寄りました。

 

マンションなのでキッチンから数歩で子ども部屋です。子ども部屋のドアも開けっ放しでストッパーをかけていました。なのに、子ども部屋で起こっている小さな事件に気づきませんでした。

 

小さな椅子に座っている次女。ハサミを持っている長女……。ふたりは美容院ごっこをしていたのです。小さな椅子の周りには次女の髪の毛が散らばっていました。次女の頭の後ろは見るも無残なトラ刈りで、かろうじて前髪が残っている状態でした。

 

一瞬、固まってしまったわたしですが、ああ、そうか。このあいだ一緒に美容院へ行ったからなのね…。と合点が行きました。長女は美容院で鏡に映るわたしに手を振りながら美容師さんのしていることに興味を感じていたのだと、このときに気づいたのです。

 

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3歳の長女には、「このハサミは、色紙やリボンや広告を切るためにあるのよ。髪の毛を切っちゃダメ、危ないからね」と教え、引き出しに片づけさせました。1歳の次女は、自分が悲惨な姿になっていることなんて、理解できませんからニコニコしています。きっと髪を切られている間、ハサミのチョキチョキとたてる音を喜んでいたに違いありません。

 

とにかく、ふたりにケガがなかったことに胸をなでおろし、3人で美容院へ向かいました。その日も、美容院に春風みたいな美容師さんがいました。次女の頭を見て「あら、まあまあ」と目を丸くしましたが、前髪を残して頭の後ろをバリカンで刈り上げて、可愛らしく仕上げてくれました。

 

美容院の椅子に子どもようの補助椅子をのせて、ひとりで座らせてもらいケープをかけてもらった次女は、最初から最後まで大きな鏡に満面の笑顔を映してしました。

 

さて、長女です。わたしは長女が悪いことをしたとは思っていなかったので叱ってはいませんでした。ハサミを人に向けたら危ないことは伝えたので、それでいいとしていました。けれど、何となく元気がなかったんです。ハサミを片付けさせたときから、口数が減っていました。

 

3歳にも3歳児の心がありますから、娘なりに、いけないことをしてしまったと感じていたのかもしれません。だけど、わたしは、娘の美容師さんの真似をしてみたかったという心を傷つけたくはありませんでした。

 

そこで、「△△ちゃん、髪を切って、すごく可愛くなったね」と長女に話しかけました。実際は男の子みたいだったのですが、春風みたいな美容師さんも、「ホント、ホント、可愛くなった」と合わせてくれました。

 

そして春風さんは「そうだ」と、長女をだきあげると椅子に座らせて、「おねえちゃんも可愛くなっちゃおう」と、髪にくしを入れて編み込みのおさげにしてくれたのです。流石に手慣れたもので、時間的には5分もかかっていませんでした。

 

けれど、そのわずかな時間に長女は笑顔を取り戻し、次女のように美容院の大きな鏡に満面の笑顔を映したのでした。まるで魔法みたいだと、わたしは心が温かくなりました。

 

この時から、長女の夢は美容師さんとしてふくらんでいきます。幼稚園に年少で入園した年から、七夕の短冊に書くのは「美容師さんになれますように」との願いでした。その思いは高校の3年生まで続き、わたしも、このまま美容学校へ進むものと思っていました。

 

ところが、高校3年生の夏休み寸前に進路を大きく変えて大学進学への道を選んだのです。高校が進学校だったためもありますが、娘なりに将来の設計図を描き選んだ道でした。長女は現在、社会人としてやりがいのある仕事に就き、はつらつとした日々を送っています。

 

春風みたいな美容師さんに、わたしが髪をカットしてもらったこと、次女が髪をカットしてもらったこと、長女が髪を編み込んで貰ったこと。それらが、その一度きりで終わってしまうだなんて、次にわたしが美容院へ行くまでは知りませんでした。ただ臨時できていたのだと、もう美容師はしていないのだと教えてもらって、とても寂しく思ったことを忘れることができません。

 

長女、髪をセットするのが上手なんです(親ばかでスミマセン)長女は、自分の友人たちから髪をセットしたり巻いたりすることを頼まれることも多く、ホットカーラー持参で友人宅へでかけます。たまにですが、わたしも長女の手が空いているときに、髪を巻いてもらったりセットしてもらったりすることがあります。

 

そんなとき、春風みたいな美容師さんのことが思い出されます。そして、わが家での小さなドレッサーですが、その鏡にすっかり大人になった長女とふたりで映りながら、美容院の大きな鏡に映った幼い娘たちの笑顔も思い浮かべています。