Pagoの部屋

ようこそPagoの部屋へ。管理人は、とっくに3人の子育てを終えたアラフィフ主婦です。大好きな絵本や食べること、そして心に沁みたことなどを記事にして綴っています。

「うたた」

「うたた」って言葉をご存知ですか?漢字では「転」と書きます。ふだん聞かないよ。使わないよ…。そんな声が聞こえてきそうです。もちろん、わたしも使いません。「つい、うたた寝しちゃって……」と使うとき以外には。

 

眠るつもりではなかったのに、ついつい眠っちゃうのが「うたた寝」です。「寝る」の意味はわかっても、「うたた」には、どんな意味があるのでしょうか。わからないので、ちょっと調べてみました。はい、こちらです☟

いよいよ、ますます、という意味で、ある状態がどんどん進行するさまを表す。また、はなはなだしく、特別に、という場合にも用いる。

[用例]うたた変転する世の中。うたた同情の念を禁じ得ない。

       ※『気のきいた日本語の辞典』:日本語表現研究会・著

 

なるほど、なるほど、眠い眠い状態が、どんどん進行していくさまが「うたた寝」なんですね。漢字のごとく、転がるように自分で止めることができずに眠ってしまう状態でしょうか。

 

説明不要かもしれませんが「居眠り」との違いを…。「居眠り」は、授業中や会議中などの眠るべきでない時と場所でうとうとすることを指します。「うたた寝」は、とりわけ問題のない時と場所でうとうとすることを指します。

 

わたくしごとですが、このところ「うたた寝」をしてしまうことがめっきり増えました。お風呂に入っているときも本を読んでいるときも、DVDなどを観ているときも、椅子に座った状態であっても、ふと気が付けば、こっくり、こっくり、身体を揺らせているのです。それが、今日の記事のきっかけとなりました。

 

現代では「うたた寝」のほかに「うたた」を使うことは、ほとんどないかと思います。「うたた雨がひどくなってきたね」なんて口にすれば「はぁ?」と首をかしげられるにちがいありません。そんな「うたた」は古く平安時代には存在していた言葉です。古語辞典では次のように説明されていますので関心のあるかたは、覗いてみて下さいね。

kobun.weblio.jp

さて、椅子から転げ落ちそうになりながら眠りこけていると、「もう、布団で寝たらどう?!」と家族から苦笑されているわたしの「うたた寝」は、不格好」です。ほとんど夢も見ず、よだれを垂らしているかもしれません。

 

しかし、絶世の美女といわれた小野小町は、こんな切なく美しい「うたた寝」の歌を詠んでいます。

 

うたたねに恋しき人を見てしより 

夢てふ物は頼みそめてき

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うたた寝の夢に、恋しい人が出てきましたよ。願えば夢で逢えるといった話なんて信じていなかったけれど、こうして夢で逢うことのできた今は信じられます……。といった意味です。

 

逢いたくても逢えない恋しい人……。夢でもいいから逢いたい人……。1000年むかしの平安時代も今も恋しい人を想う気持ちは同じなんですね。夢でしか逢えないのは切ないけれど、それしかないのであるならば、きっと覚めない夢であってほしかったでしょうね。

 

頻繁な「うたた寝」で首の筋を痛めたのか、フェイタスを手放せないわたしには、ロマンティックでセンチメンタルな「うたた寝」に縁はありません。だけど気持はよーくわかります。皆さまは、いかがでしょうか。「うたた寝」の短い夢でいいから逢いたい人っていらっしゃいませんか?……。逢いたいけれど逢えない、そんな逢いたい人は……。