Pagoの部屋

ようこそPagoの部屋へ。管理人は、とっくに3人の子育てを終えたアラフィフ主婦です。大好きな絵本や食べること、そして心に沁みたことなどを記事にして綴っています。

さだまさし作『ふうせんのはか』

シンガーソングライターのさだまさしさんは、小説家としても有名ですね。

 

『精霊流し』・『眉山』・『解夏』(短編集)・『茨の木』・『アントキノイノチ』……。わたしが読んだ作品は、この5冊くらいだと思います。どれも心にしみる素晴らしい小説でした。世の中の悲しいことや、せつないことが、優しい目線で強く美しく、淡々とした文章で綴られています。読後は静かな感動に包まれます。

 

多くの歌(歌詞)にも感じますが、さだまさしさんは言葉を紡ぐのが、ほんとうに上手い方だなぁと感心します。淡々とした言葉で描写しているのですが、映像がまぶたの裏に映ります。そんなさだまさしさんが、はじめて書いた児童文学が今日の記事にとりあげた『ふうせんのはか』です。

 

『ふうせんのはか』は、今の季節にぴったりの夏休みの出来事が描かれています。時代は、どこの家も裕福と呼べなかった昭和の30年代。主人公である三年生のぼくと一年生の弟、そして4歳になったばかりの妹の物語で、さだまさしさんの子ども時代の実話がベースになっています。

 

長崎の八坂神社のお祭りの夜が舞台です。夏休みで、ぼくたち兄弟は遊びにきた二人の従妹と5人でお祭りにでかけることになりました。ぼくの家庭は貧しくて、従妹たちの家庭は裕福で、お祭りだからと貰ったお小遣いの額が全く違います。夜店で使えるお金はほんのわずか。けれど、ぼくも弟も自分のことより幼い妹をよろこばせようとします。健気で一生懸命な兄弟愛にジーンと目頭が熱くなるステキな物語です。

 

あまり書いてしまうと、読んでみようかなと思われた方の邪魔になってしまうので、ここまでにしておきますね。「はか(墓)」という単語がタイトルの一部になっていますが悲しいお話ではありません。。。♪

 

ふうせんのはか (くもんの児童文学)

 

最後にさだまさしさんの思いをあとがきより切り取ってみました。ささやかながら、そうであってほしいと祈りをこめて。。。

 

 世の中はあのころとすっかり変わってしまったけれど、ひとの心根の優しさや強さは そうそう変わるものではないと思っています。

 温かくて強く“ひとの痛み”を理解できる子どもたちが、一人でも多くなりますように……。

                『ふうせんのはか』P85 あとがきより