Pagoの部屋

ようこそPagoの部屋へ。管理人は、とっくに3人の子育てを終えたアラフィフ主婦です。大好きな絵本や食べること、そして心に沁みたことなどを記事にして綴っています。

ギリシア神話にゼウスという名の神様がいます。住んでいるのは、雲の上に高くそびえるオリュンポスの山の頂です。ゼウスは他の神々の中でも、ずばぬけて強い力を持っていて、最大の武器は稲妻でした。

 

神話を語り継いでいた頃のギリシア人は、稲妻を次のように信じていました。

 

稲妻は一種の魔力を持つ石で槍や矢のような形に作られ、これをゼウスが悪い人間や敵に投げつけるのだと。そしてゼウスのしもべである大鷲が、ゼウスの稲妻を運ぶ役目をしているのだと。

 

わたしは、子どもの頃から雷鳴も稲光も苦手です。ゴロゴロと空が唸り始めると不安な気持ちになってしまうのです。ひとりで居るときは、なおさらです。

 

先月のある日のこと、晴れていた空が急に曇りはじめ遠くから雷鳴が聞こえてきました。その音は、どんどん近づいてきて大きくなりました。暗くなった空を雲が厚くたち込めて、降りだした大粒の雨は、次第に激しくなりました。豪雨が辺りの景色を灰色のベールで包み込んでしまったときには、ゴロゴロ、ピカピカ、どこに落ちたのかドーンドーンと地面の響く音が複数。雷さま大暴れの状態でした。

 

これまで経験したことのないほどの雷鳴や落雷の音で、家にひとり居たわたしは、耳をふさぎ縮み上がっておりました。

 

何とこの日、雷は、わが家のすぐ近くに落雷していたのです。マンションの敷地内です。1000世帯がある15階建ての建物には何本もの避雷針が立っているのに、それほど大きくもない一本の樹木に落雷したのです。

 

レンガ敷きの地面に穴があき「危険・近づくな」の札がありました。樹木は巨人が引き抜いたかのように横倒しになり、根っこが空を見上げていました。倒れた樹木は赤い三角コーンと黒と黄が縞になったポールに囲われていました。だけど、レンガが砕け散り地面に大きな穴があいているわりには、樹木は青々と茂りそのままの姿をとどめていたのです。

 

なので翌日には造園業の人が樹木を起こして、元の場所に植えなおしてくれるのかな……なんて思ったりもしました。けれど、樹木は撤去され穴は埋められ、新しいレンガが敷き詰められていました。そこには、もう小さな木陰を作っていた樹木はなかったのです。

 

燃えたり焦げたりしていなくても落雷をうけた樹木は生きていけないのだと、無知すぎるわたしは、新しい地面を見て知ったのです。そりゃあそうですよね。落雷時の電圧は桁違いの電圧です。我ながら馬鹿だなと思いました。

 

それにしても何もこんな小さな樹木を犠牲にしなくてもと、少し悲しい気持ちになりました。もちろん、人が犠牲にならなかったことを良かったと深く思いはしたのですが。

 

むかしむかしのギリシアの人々は、わたし以上にゼウスの稲妻を恐れたのでしょうけど、やりきれなさが残り、つくづく雷は怖いなと感じた出来事でした。