「なんで、ぼくんちのカレーには、ジャガイモが入ってないん?」そう聞かれたのは息子が幼稚園児の頃のこと。給食のカレーには、ジャガイモが入ってるのに……と、疑問を持ったのです。
わたしやダンナがジャガイモを嫌っていたわけではありません。どちらかといえばイモ類は好きです。ただ単に、子ども時代の実家のカレーにもジャガイモは入っていなかったし、よそでお呼ばれしたときに、わたしがカレーにジャガイモは合わないと感じていたからでした。ジャガイモを入れると、カレーの舌触りがざらつくので嫌だったのです。
カレーだけでなくビーフシチューやホワイトシチューにもジャガイモは入れません。ざらつきだけでなく、ジャガイモのでんぷんで、とろみが濃くなるからです。特にカレーの場合、とろみがかためより、スープのようにゆるいほうが好みでした。
「なんで、ぼくんちのカレーには、ジャガイモが入ってないん?」と聞かれたとき、どんな風にわたしは話し、それを息子が納得したのかどうかは忘れましたが、とにかくわたし好みのカレーをその後も作り続けたのです。
季節によってのアレンジはありますが、基本の材料は、ニンニク、ショウガ、お肉、玉ねぎ、にんじんの五つ。そのまま、わが家のカレーはジャガイモなしのカレーであり続けるはずだったのですが……。
息子、一年生になりました。
ある日の夕方、カレー作りの準備をしていたときのこと。
「おかあさん、小学校のカレーにもジャガイモが入ってるんやで」
再びの指摘でした。
そして息子は、二人の妹を並ばせて……。
「なあ、カレーにジャガイモが入っているほうがいいと思う人、手をあげて!」
と言い放ち、「はあーい」と率先して自分の手をあげたのです。
もうね、結果はみえみえでしょう。。。
3歳半と1歳半の幼い妹たち…。
「はあーい」「はあーい」
末っ子なんて、カレーのおうじさまデビューしたばかりのころ。
兄をまねて、たぶん質問を理解せず?…にこにこ手をあげました。
「決まりやな」。。。息子の得意顔……。
まあいいか。ジャガイモも仲間に入れてあげましょう…。
わたしは妥協したのです。。。
その日から、わが家のカレーにジャガイモが参加するようになりました。
でも……毎回ではありません。
ときどきジャガイモには、わたしの独断でお休みしてもらっています。
「あ、ジャガイモ買うの忘れたわ…」と、大きな声でひとりごとを言いながら。。。
ちなみに今夜のカレーをただいま、コトコト煮こみ中…。
20数年前のことを思い出しながら、この記事を書いています。
えっ?……ジャガイモ……ですか?
もちろん今日は入れましたよ…。そう、息子愛を優先しました。。。(笑)