道くさ

道くさ……と聞いても、ピンとこない方が多いかもしれません。意味は、目的の所へ行き着く途中で、他の物事にかかわって時間を費やすことです。今は、同じ意味で寄り道……の方がよく使われているかと思います。

 

今日は、その道くさをしたのんきなサンタさんのことを書いてみようかな…と、このタイトルで記事を書き始めました。道くさをしたサンタさんが登場するのは、『サンタクロースが二月にやってきた』と言う短いおはなしで、作家の今江祥智(いまえよしとも)さんの童話集『ぽけっとにいっぱい』の中に収められています。

 

では、ざっくりとあらすじです。

 

冬になって来園者が減り寂しくなった動物園が舞台です。あたたかいスチームの通った部屋で寒がり屋のライオンの親子がアフリカの話をしているところへ、天井をつきやぶり空からおじさんが落ちてきます。

 

おじさんは、自分はサンタクロースだと名乗りました。けれど、ライオンのとうさんもかあさんも、本当にサンタさんなのかと、おじさんをあやしみます。真っ赤な服とそろいの帽子をかぶっていたとしてもです。だって、クリスマスはとっくに過ぎているのですから。

 

でも、季節外れなのにはちゃんと理由がありました。……気前のいいサンタさんは、プレゼントだけじゃなく、そりトナカイも子どもたちにあげてしまったのです。そこで、道くさしながら北の空まで歩いて帰っていたところを地上へと落っこちてしまったのです。

 

ほんとにわしはサンタだよ…と言い続けるあやしいおじさん……。そこで、ライオンのぼうやは、ほんとうのサンタさんならぼくにもと、プレゼントをねだります。けれど、サンタさんはプレゼントそりトナカイも持っていません。

 

それでもライオンのぼうやに何かをあげたくて……。

 

サンタさんが思いついたのは、ライオンのぼうやがきっと見たことがない雪だるまでした。サンタさんは、外へとびだすと小さな雪だるまを作ってライオンの部屋へと戻ってきます。

 

けれどライオンの部屋はスチームの通った暖かい部屋……。小さな雪だるまは、あっという間にとけてしまいました。もういちど外へとびだし、しっかり雪をかためて大いそぎでもどってきても、やっぱり雪だるまはとけてしまいます。

 

とけても、とけてもサンタさんはあきらめず、なんどもチャレンジをします。

 

---まっとれよ。こんどこそ!

サンタさんは、またとびだしました。

---いいひとね。きっと、ほんとのサンタさんよ。

かあさんライオンがいいました。

---わしもそうおもう。と、とうさんライオン。

(*注『ぽけっとにいっぱい』1984年第1刷発行のP143より・現在は改訂版)

 

 このあとサンタさんは、部屋に持っていけないほどの、でっかい雪だるまを作るのですが……。

 

人のいいサンタさんらしいユーモラスな雪だるまに、ほっこりした気持ちになり笑いをさそわれます。、続きが気になる方は、図書館などで読んでみてくださいね。数分で読める短いおはなしです。ホントは、みんな書いちゃいたいんですけど完全にネタバレになっちゃいますから…。

 

道くさ……ときには楽しくて、いいですね。

 

作家の今江祥智さんの作品はこれまでの記事でとりあげたことがあります。絵本の『ぼちぼちいこか』や短編童話の『星をもらった子』だったかと。幼年向けの童話もすばらしいのですが、大人でも十分読み応えのある児童文学『ぼんぼん』『優しさごっこ』も興味があれば……。道くさって言葉みたいに、思いっきり昭和の香りする作品ですけどね。。。

 

よろしかったら今江祥智ワールドをのぞいてみてください。。。♫

ご訪問ありがとうございました。。。♪