桜の花びら

今週のお題「桜」

 

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桜の花びらが、やわらかな風に舞う季節となりました。

この時期が来るとかならず開く本があります。

昨年の同じ頃にもお題で桜の記事を書き、その物語をとりあげました。

 

なので今日の記事は、昨年の記事と重なるところがあります。

 

その物語は、畠中恵さんの短編『はるがいくよ』*1です。

 

長き年を経て妖と化した桜の古木…。

その桜の花びらである小紅は人の姿をしています。

けれど咲いて散るまでの短い命。

翌年に咲いて散る花びらたちは、小紅ではなく

小紅の妹たちなのです。。。

はかない命の切なさや哀しさを優しく美しく描いた物語です。

 

 桜の花は、咲いてから七日もすれば、満開となる。十日も経つと、風に花びらを散らすようになる。そうとなれば葉桜になるまで、三日持つかどうかだ。

 つまり、つまり咲き始めてから半月足らずが、花びらの寿命なのだ。

(小紅の生きる時間は、たった半月しかないっていうのか?)

 散り始めてしまったら、もう何をするにも間に合わないだろう。風でも吹いたら、花びらは風に舞ってしまう。それきりであった。

 

『はるがゆくよ』/『ちんぷんかん』に収録p298

 

桜の花は毎年咲くけれど、一年ごとのそれきりの花。

季節がめぐり春にふたたび桜の花が咲いても、

それは同じ花ではありません。。。

このしゃばけシリーズの物語に登場する妖たちの

千年、三千年と生きる寿命に比べたら、

人の命も桜の花びらのようなものなんですね。。。

 

妖たちと暮らす長崎屋の若だんなのセリフにこんなのがあります。

「私もいつか、皆をおいてゆくんだね」

人の姿に化して手代として若だんなに仕える妖たちに向けての言葉です。

 

心が、はっと瞬きしたようなセリフでした。。。

 

限りある命…。

誰もがいつかは迎えるその日…。

おいてゆかれもすれば、おいてもゆくのだと、

妙に納得したのです。

 

死は、哀しいことなのだけど、

受け止めて与えられているものを大切に

ひたむきに生きるしかありません。

もしも永遠の命があるのだとしても、

欲しがる人は、ほどんどいない…と思います。

 

そんな当たり前のことをここ10年ほど…。

この『はるがいくよ』の物語に出会ってからは、

春が来るたびに、桜の花びらが散るのを見るたびに

考えたり思ったりするようになりました。

 

そして昨年の春は、特に、深く深く、命のことを思ったのです。

 

昨年の3月…数年病を患っていた友だちが他界しました。

一緒に見ようと言っていた桜の花の開花を待たず…。

 

おいてゆく家族や友に、どんな思いを馳せたのかしら…。

彼女がいなくなったときよりも

桜の花びらが散る風景に涙が止まらなくなりました。

 

彼女とは20年ほどのお付き合い…。

同じマンションなのでお互いの家を行き来したり

一緒にでかけることも多かったです。

近所の満開の桜並木を綺麗だねぇって言いながら

一緒に自転車を走らせたことも…。

思い出がどんどんあふれて、

心にぽっかりと大きな穴があいたようでした。

 

友や大切な人の死を

初めて経験したわけではないのです。

何故なのか、これまでの哀しみが、

ぜんぶ混ざってしまいました。

 

一年前の気持ちが塞ぐ春の日々…。

できるだけ明るい記事を書くようにしたり、

笑えるブログをお邪魔させてもらったり、

そうやって心の痛みを癒して…過ごしました。

 

もろくなってしまった心は、些細なことにも傷つきやすく

たとえば乱暴な言葉の記事に気持ちが沈むこともありましたが……。

 

それでも、ほんとうに、とっても、

クスッと笑えるブログに救われてきたのです。。。

 

そして、そして……。

流れる時間も、ゆっくりと、心の痛みを和らげ続けてくれています。

 

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この先も、おいていかれる新たな哀しみと、

つきあうことがあるでしょう。。。

そして、若だんなのセリフではないけれど、

いつかは、わたしも誰かをおいていくのです。

 

哀しいことは、哀しいこととして、

嬉しいことは、嬉しいこととして、

しあわせなことは、しあわせなこととして、

命のかぎりをありがたいなと思って

日々を大切に、人を大切に、過ごしたいなと思います。

 

まもなくわが家の近所の桜並木も満開となるでしょう。

 

今年の桜も、さぞかし綺麗だろうと思います。

 

一度きりの一期一会の桜の花たち。。。

 

めぐりめぐって桜の季節を今年も家族と迎えられたことを

ありがたいなと感謝せずにいられません。。。

 

皆さまにとりまして、あたたかで、しあわせな春でありますように。。。♫

 

 

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*1:江戸を舞台にした妖小説しゃばけシリーズ『ちんぷんかん』(新潮文庫)に収録

ご訪問ありがとうございました。。。♪