▶序章◀『はてしない物語』より

はてしない物語 (エンデの傑作ファンタジー)

 はじめに

『はてしない物語』は、ドイツの児童文学作家ミヒャエル・エンデが書いた冒険ファンタジーです。そして一人の少年の成長物語でもあります。とても読みやすい児童文学なのですが、長編なのでこの記事からスタートして、一章ずつ記事を書いていくことにしました。書き漏れなどをあとで見つけたときには、そのつど加筆訂正していくつもりです。

 

『はてしない物語』は、現実の世界と本の中の世界を交差させながら、ストーリーが展開していきます。その空間の移動をできるだけ分かりやすく、あらすじをメインに、書き進めるつもりです。その他には、作者エンデが作品の中で綴っている言葉から、わたしが「いいなぁ」と感じる言葉などを抜き出して書き写したいなと思っています。

 

それでは、『はてしない物語』の序章です。

序章

まずは物語の主人公バスチアン・バルターザル・ブックスの紹介です。通称バスチアン。背が低い太った少年です 。バスチアンは、学校が好きではなく落第をしています。いじめっ子にやられるがままなので「弱虫」「臆病者」と見られがちでした。

 

バスチアンは、歯科技工士のお父さんと二人暮らし。お母さんとは死別しています。たった一人の肉親であるお父さんとバスチアンの間には、いまひとつ心を通い合わせられない壁があるようです。

 

ある朝、土砂降りの雨の日のこと。クラスのいじめっ子に追いかけられて、古本屋へ逃げ込んだバスチアンは、運命の一冊の本と出会います。それは、バスチアンが古本屋に入ってきたとき、ちょうど店主のコリアンダー氏が読んでいた本でした。

 

電話が鳴りコリアンダー氏は、電話にでるために本を置いて奥の部屋へいきました。そのすきにバスチアンは、吸いよせられるように本を手にとってしまいます。その本は……。

 

表紙はあかがね色の絹で、動かすとほのかに光った。パラパラとページをめくってみると、なかは二色刷りになっていた。さし絵はないようだが、各章の始めにきれいな大きい飾り文字があった。表紙をもう一度よく眺めてみると、二匹の蛇が描かれているのに気がついた。一匹は明るく、一匹は暗く描かれ、それぞれ相手の尾を咬んで、楕円につながっていた。

---p16~17---

 

この本こそが、『はてしない物語』なのです。。。

んんん…?…と思われました?

ちょっと、ややこしいかもしれないですね。

 

わたしがこの記事で紹介させていただいている本も『はてしない物語』ですが、その物語の主人公であるバスチアンが手に取った本も『はてしない物語』なのです。つまり、バスチアンが読んでいる本をわたしが、のぞきこんでいる…ような感じでしょうか。

 

今後、連載していくこの記事では、わたしが読んでいる『はてしない物語』は、黒色で、バスチアンが読んでいる『はてしない物語』は、紅色で記していきたいと思います。

 

岩波書店さんが、この本をあかがね色の絹を使って物語の中の本と同じ装丁に仕上げたものだから、引用した箇所を読んだとき読み手はドキリとしたりするのです。普通に読んでも引き込まれる物語なので、なおさら深く引き込まれてしまいます。文庫本よりハードカバーを勧めたくなる理由です。上のライトグレーの写真は、本が入っているケース(化粧箱)です。

 

話を戻しますね。

 

本が大好きなバスチアンは、どうしてもこの本が欲しくなりました。欲しいというよりも、この『はてしない物語』バスチアンを待っていたように思え、呼び寄せられたように思え、バスチアンは、この本を持たずに立ち去ることができません。

 

けれどお小遣いをかき集めたとしても、買うことができません。実は、店にとびこんだときに不愛想な店主コレアンダー氏から「ここにある本は、おまえに売ってやれん」といわれていたのです。

 

コレアンダー氏は、子どもが嫌いなのです。子どもは本を大切にしないと思い込んでいるのです。だから、バスチアンにだけ本を売らない…といっているわけではないんです。

 

そういった事情で、コレアンダー氏が、かかってきた電話で話しているすきに、バスチアンは、この本を盗んでしまいます。もちろん良心は痛むのだけど……。そうそう、映画では「かならずお返しします」とメモを残していますが原作では、メモは書かないんですよ。たぶん、バスチアンに、そんな余裕はありませんから……(笑)

 

さて、店を出たバスチアンは、父がいる家にもどる気持ちにもなれず、とりあえず学校へ行きます。でも教室へは向かいません。もうすっかり遅刻をしているし、学校生活が苦手なバスチアンにとって、教室には用がなかったのです。

 

バスチアンが向かったのは、誰も来ることがないだろうな…と思える学校の屋根裏の物置です。バスチアンは、天窓の下の一番明るい場所に古いマットを重ねてベッドを作り、軍用の毛布をはおりました。毛布は、ひどくほこりをかぶってすりきれているけれど、雨にぬれた体をあたためるのには十分でしょう。。。

 

 さあ、読む準備は整いました。

 

バスチアンは、『はてしない物語』の本を手に取り1ページ目を開き読み始めましたよ。。。次回は、目次の1番目▶ファンタージエン国の危機◀です。

 

 ※ 以下は目次です。つつつ……と読み流がすか、飛ばしてくださいね。。。

目次  

I     ファンタージエン国の危機

II   アトレーユの使命

III   太古の媼モーラ

IV  群衆者イグラーム

V  夫婦隠者

VI  三つの神秘の門

VII  静寂の声

VIII  妖怪の国で

IX  化け物の町

X  エルフェンバイン塔へ

XI  女王幼ごころの君

XII  さすらい山の古老

XIII  夜の森ペレリン

XIV  色の砂漠ゴアプ

XV  色のある死グラオーグラマン

XVI  銀の都アマルガント

XVII  勇士ヒンレックの竜

XVIII  アッハライ

XIX   旅の一行

XX   目のある手

XXI   星僧院

XXII  エルフェンバイン塔の戦い

XXIII  元帝王たちの都

XXIV  アイゥオーラおばさま

XXV   絵の採掘抗

XXVI   生命の水

さて、まずは物語の主人公バスチアン・バルターザル・ブックスの紹介です。通称バスチアン。背が低い太った少年です。バスチアンは、歯科技工士のお父さんと二人暮らし。お母さんは死別しています。たった一人の肉親であるお父さんとバスチアンの関係は希薄でした。

 

ある朝、土砂降りの雨の日のこと。クラスのいじめっ子に追いかけられて、古本屋へ逃げ込んだバスチアンは、一冊の本と出会います。それは、バスチアンが古本屋に入ってきたとき、店主のコリアンダー氏が読んでいた本でした。

 

電話が鳴り、コリアンダー氏は、本を置いて奥の部屋へいきました。バスチアンは、吸いよせられるように本を手にとってしまいます。その本は……。

表紙はあかがね色の絹で、動かすとほのかに光った。パラパラとページをめくってみると、なかは二色刷りになっていた。さし絵はないようだが、各章の始めにきれいな大きい飾り文字があった。表紙をもう一度よく眺めてみると、二匹の蛇が描かれているのに気がついた。一匹は明るく、一匹は暗く描かれ、それぞれ相手の尾を咬んで、楕円につながっていた。

---p16~17---

 

この本こそが、『はてしない物語』なのです。。。

 

バスチアンは、どうしてもこの本が欲しくなりました。けれどお小遣いをかき集めたとしても、買うことができません。実は、店にとびこんだときに不愛想なコレアンダー氏から「ここにある本は、おまえに売ってやれん」といわれていたのです。

 

コレアンダー氏が電話で話しているすきに、バスチアンは、この本を盗んでしまいます。もちろん良心は痛むのだけど……。そうそう、映画では「かならずお返しします」とメモを残すのだけど原作では、メモは書かないんですよ。たぶん、バスチアンに、そんな余裕はありませんから……(笑)

 

店を出たバスチアンは、父がいる家にもどる気持ちにもなれず、とりあえず学校へ行くのですが教室へは向かいませんでした。もうすっかり遅刻をしているし、学校生活が苦手なバスチアンにとって、教室には用がなかったのです。

 

バスチアンが向かったのは、誰も来ることがないであろう学校の屋根裏の物置でした。バスチアンは、天窓の下の一番明るい場所に古いマットを重ね、軍用の毛布をはおりました。毛布は、ひどくほこりをかぶってすりきれていたけれど、雨にぬれた体をあたためるのに十分でした。

ご訪問ありがとうございました。。。♪